衆議院議員 井上義久
平成10年10月9日 衆議院建設委員会

○井上(義)委員
 初めに、公共事業についてお伺いしたいと思います。
 公共事業をめぐりましては、その効率性、効果性に国民各界から厳しい指摘があることは大臣御承知のとおりだと思います。特に、バブル崩壊以降の公共投資については、当面の景気対策という色彩が極めて強くて、一定の景気の下支えの効果はあったと思いますけれども、土木を中心としたばらまき、こういう批判が極めて強いわけでございます。公共工事をやっているときはいいけれども、投資がとまった途端に失業がふえてもとの状態に戻ってしまう、こういうことを繰り返してきたわけでございます。
 本来、公共投資というのは、時代のニーズにこたえながら、社会資本ストックを形成し、経済の成長を高め、国民生活の質の向上を目指すということが期待されているわけでございまして、貯蓄投資バランスを考えても、この十年間が積橿的な公共投資のチャンス、このように考えているわけでございます。
 であればこそ、透明性を高めるとかあるいはむだをなくす、こういうことは当然でありますけれども、やはり時代のニーズにあった戦略というものが公共投資に明確になければならないのではないか。特に、国民の側から見て、ここにこれだけの投資をしたらこういう効果があったのだということがやはり明白になるような公共投資のあり方がこれから必要じゃないか、そういうふうに思うわけでございまして、今後の公共投資のあり方について、大臣の基本的なお考えをお伺いしたいのが一つ。
 もう一つは、当面の景気を考えましても、やはり十分な総事業費、これを確保するということは非常に大事なことだと思いますので、九八年度、今回の景気対策臨時緊急特別枠も含めてどの程度の事業規模になるというふうに見ていらっしゃるのか。それから、九九年度、これもやはり継続的な事業費を確保していくことが極めて大事だと思いますので、その辺の大臣の御決意をお伺いしておきたいと思います。

○関谷国務大臣
 先生御指摘の公共事業に対しますいろいろな評価、これは他の先生の御質問にもございましたが、今の経済情勢、社会情勢等を考えましたときには、全く今までと同じようなやり方での公共投資、公共事業というものはいささか改善していかなければならない点も多々あろうとは思いますが、私は、今の社会全体を覆っております不安感、そういうような状態のもとではやはり減税だけでは、あるいは減税よりも公共事業の方が景気回復のインパクトは大きい、また効果も非常に大きなものがあると考えております。
 そういう中にありまして、先生御指摘のように、これからの十年間が私はやはり公共事業のその財があるときだろうと思うわけでございます。
 一定の仮定のもとに推計した一覧表があるのでございますが、二〇一〇年までは貯蓄超過であるが、以降は貯蓄が減少して、二〇一五年には投資超過に転じることになるのではないか、そこを先生が御指摘なさっていらっしゃることだろうと思うわけでございまして、この十年間に、ぜひ私は、社会資本の整備というのを強力に推進をしていかなければならないと思っておるわけでございます。
 そういう中にありまして、高規格幹線道路の整備あるいはまた高齢者向けの公共賃貸住宅の整備であるとか、あるいは二十一世紀を見据えたそういう意味での戦略的な社会資本整備というのをこの十年間に進めていきまして、物流の効率化というものも早く達成をしていきたいと思っておるわけでございます。
 それから、今後の予算でございますが、御承知のように特別枠もございます。これも大いに活用したいと思っておりますし、来年度の一般会計におきましては、ことしの当初の六兆円の四六%ということでございますから、九兆二千億円ばかりの事業費を得ることができると思います。ですから、強力に公共事業を進めていきたい。
 そして、進めていくときには、私はよく言っておるのでございますが、重点的な配分をやっていきたいと思っておるわけでございます。それは効果の大きなもの、そして緊急度、重要度、そして再評価の委員会のことが先ほど出ておりましたが、やはり地元の協力というものがなければならないわけでございますから、地元が協力できるかどうかというものも勘案して重点配分をやっていきたい。あわせて、自然環境と共生のできる状態で私は開発をやっていきたい、そのように考えております。

○井上(義)委員
 やはり国民の目に見える形で、ここがこういうふうに変わるのだと、道路が何キロ延長しましたとかいうような言い方じゃなくて、この十年間で国民生活はこういうふうに変わるのです、やはりこういう目に見える形の国民に対する理解というのが私は大事だと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 それからもう一点、我が国産業における最大の雇用の担い手であります建設産業が極めて厳しい状況にありまして、現在五十数万社、就業者数七百万人と言われているわけでありますけれども、昨年は五千四百四十六件の倒産がありましたし、ことしに入ってから毎月四百件を超える倒産が相次いでいるわけでございます。業界の体質や産業構造にも問題が多いわけですが、ただ、現状を放置して自然淘汰にゆだねるということでは、やはり雇用問題を含めて社会問題になる可能性が強いわけでございます。雇用調整を見据えつつ建設産業の構造改革をどう進めるか、建設就業者の生活を守りながらどう業態を近代化させていくか、一人一人の生活がかかっているだけに、大変重要な問題だと思うわけでございます。
 この建設産業の構造改革について、建設省としてどのように取り組もうとしていらっしゃるのか。基幹産業の一つであって、やはり一定の適切な政策誘導、産業振興策というものが私は必要じゃないかというふうに思うわけでございまして、その点についてお伺いしたいと思います。

○木下政府委員
 お答えいたします。
 先生、お話にございましたように、いわば公共事業を支える建設業の状況からいきますと、大変厳しゅうございます。結論的には、この中で建設業だけが繁栄するというのはなかなか難しいと思いますが、他産業との関連も十分考慮しながらでございますが、お話ございましたように、建設業を取り巻く状況の中では、建設投資が平成四年当時八十四兆あったわけでございますが、平成九年はそれと比較いたしますと一一%減ということで、いわばパイそのものも減っておるわけでございます。
 利益率も、ちょっと細かくなりますけれども、平成三年、これは最近では一番営業利益率が高かった年でございますが、五%の営業利益率を上げておりましたのに対して、平成八年で二・一%ということで、四〇%ばかりに下がっております。
 こういう厳しい環境の中で、お話ございましたように、建設業者数は年々ふえております。業者数のふえる背景といいますのは、中核的な業者がふえているというよりは、いわば中小零細企業が大分分裂していって新しい業者になっていくというのも実態でございます。
 いずれにせよ、お話ございましたように、公共事業はこれからいろいろな局面を迎えるわけでございますが、それを支える、あるいは日本の基幹産業としての建設業をどうしていくかということでは、やはり技術力とかあるいは経営の力を持った業者をいわば仕事につかせるということでございますので、今までにも入札制度については種々の検討もしておりますが、一方では、正しい企業の評価をしていくということでのいわば情報公開等もやっていく、公表もしていく必要があろうかと思っております。我々としても、金融面とかその他の面の諸環境もなかなか厳しい中でございますけれども、今申し上げたような入札制度あるいは経営力に対しての支援体制をこれからもとってまいりたい、こう思っております。

○関谷国務大臣
 局長からも御答弁があったわけでございますが、確かに構造改革ということを私はやっていかなければならないと思いますし、今地方の公共団体に公共事業を今のような補助金とか助成金的なもので出していって、それがなければなかなか地方の経済が維持できないというのも、これも私は、先生御指摘のように、そんなことができるのも、まあここ十年がつついっぱいじゃないかと思っております。そんなことがいつまでもできるものではないと私は思っておりますから。
 そういうようなことをまたいろいろ研究して考えていかなければならないと思うのですけれども、ことしの二月の中央建設業審議会の建議もございまして、やはり技術と経営にすぐれた企業が伸びていくことができる建設の市場をつくっていく、あるいはまた、先ほど局長も言っておりましたが、入札とか契約制度の競争性、そして透明性の向上、あるいはまた、不良なあるいは不適格な業者の排除というのは、これはまた私は徹底してやっていかなければならないと思うわけでございまして、違法なことを行った企業も、いわゆる入札の停止なんというのが二カ月とか三カ月なんというのでは、私は何のパニッシュメントにもならないような気もするわけでございますが、そういう不適格な業者の排除というものも徹底的にやっていく。
 ですから、経営力と技術力の強固な企業が生きていけるような、そういう建設業の構造改善というものもやっていかなければならない。そういうもとにあって、やはり私は、契約の制度の、後からの予定価格の公表というようなこともやっていって透明度というのは高めていかなければならないと思っております。
 それと、私は、先生御指摘がございましたが、やはりそういうようなことで、努力もしない企業までを助けていくというようなことはできませんから、やはりいささかは自然淘汰的な余地も残して、やはり努力した者が生き残っていけることができる建設業界というものにも、私は、いささかちょっときつい表現になるかもしれませんが、やっていかなければならない。私はいささか甘えた経営姿勢のところもあると思っております。

○井上(義)委員
 次に、住宅政策についてお伺いしたいと思います。
 長期化する不況で、失業や賃金カットによって住宅ローンの返済が困難になる世帯が増加しております。ローン破綻に追い込まれ、やむなくマイホームを手放す例も急増しているわけです。一方、住宅着工件数は十九カ月連続で前年を下回っておりまして、業界では、年間着工戸数百万戸割れというような声も聞かれるわけでございまして、私どもとしては、本年六月二十四日に経済対策に関する緊急提言を発表しておりまして、この住宅ローン利子減税の創設等の住宅減税あるいは住宅ローン返済困難者に対する支援対策等を政府に要請したわけでございます。
 具体的に、まず一つは、住宅ローン利子減税制度の創設でありますけれども、御案内のようにアメリカでは、二軒までの住宅並びに敷地に対して、百万ドルを限度として、全返済期間を通じて住宅ローンの利子を所得から控除する、いわゆる住宅ローン利子所得控除制度があるわけでございます。日本でも同制度の導入を各界から強く要望されているところでありますけれども、住宅建設は経済波及効果も非常に大きいということで、現在の経済状況を勘案いたしますと、現行の住宅取得促進税制との選択制で、このローン利子減税制度、これはぜひ導入する必要がある、こういうふうに思うわけでございますけれども、住宅政策の観点から、この点についてお考えを承りたいと思います。

○関谷国務大臣
 先生と私も同じ考え方でございまして、現在ございます住宅促進税制を六年間を十年間に延ばしますし、それと新たにローン利子減税を行うということで、この両者どちらでも、選択制で私は行くべきであろうと思っております。そのように私は指導をしていきたいと思っております。
 それで、また住宅ローンの返済の困窮者の方々に対しましては、償還期間を最長十年間延長して、返済の負担の軽減を行っているところでもございますし、このローン返済のための、返済といいましょうか、金融公庫から資金を借ります。その条件は、いろいろやはり制限されておるところがございますから、そういうようなところも緩和をしていくような状態に、またしていかなければならないと思いますが、いずれにいたしましても、今のような経済情勢でございますから、返済期間の延長とかあるいは据置期間の設定、あるいはそれの長期化等々を行っていきたいと思っております。

○井上(義)委員
 住宅ローン利子減税制度、大臣もこれを導入することが必要である、こういうお考えだというふうに理解いたしましたので、ぜひ実行をよろしくお願いしたいと思います。
 それから、今大臣お触れになりましたけれども、住宅取得促進税制についても、これは特に中堅所得者層以下の人たちに対しては極めて有効な税制なわけでございまして、控除期間の延長、それから対象となる借入金額の引き上げ、住民税への遡及というような制度の拡充が強く求められているわけでございまして、これは、当面の景気対策ということもありますけれども、やはり住宅政策としても非常に重要であると思いますので、もう少しこれを具体的に、建設省のこの辺の具体的な、今当面考えていらっしゃることを確認しておきたいと思います。

○那珂説明員
 現行の住宅取得促進税制に関してでございますが、ただいま先生も御指摘いただきましたように、次のような大幅な拡充を要望しているところでございます。すなわち、現行六年間の控除期間を十年に延長いたしまして、控除額合計も現在より百万円引き上げるというのが一点目でございます。それから、住宅とともに取得する敷地についてのローンにつきましても対象とする、所得要件を廃止する、さらに住民税についても適用するというような四点を柱として要望しているところでございます。
 また、さきにお触れになりました住宅ローン利子所得控除制度の効果ということでございますが、所得水準とか借入金の金額とかあるいはそのときの金利水準とか個々の経済状況によっても、また、控除対象をどこまでにするかとか期間をどの程度にするかとか、制度設計の仕方によって大きく異なりまして、一概に効果はどうかということを申し上げにくいのですが、今米国で行われておりますような制度を参考に考えますと、右肩上がりの成長がとまって所得の伸びが鈍化するというような経済状況の中では、やはり、長期にわたって住宅取得者の負担を軽減することで計画的な住宅取得の促進が図られるとか、また、とりわけ良質な住宅ストックの形成や市場の活性化を通じた居住水準の向上につながるものと思料されるところでございます。

○井上(義)委員
 ぜひ実現、強力に建設省としても取り組んでいただきたいと思います。
 それから次に、買いかえ特例とこの住宅取得促進税制またはローン利子控除の併用ということなんですけれども、今後の住宅政策の課題は、住宅の質をどう高めていくかということが望まれるわけでございまして、そういう意味で、所得とかライフスタイルに合わせて買いかえを支援していくということが肝要であろう、私はこう思うわけでございます。
 ただ、現行の住宅用財産の買いかえ特例というのは住宅促進税制との選択になっているわけでございまして、買いかえ特例とこの住宅促進税制あるいは住宅ローン利子控除、これを併用するシステムにして、より質の高い住宅への買いかえを積種的に支援する、こういうことが私はぜひ必要ではないかと思うわけでございますけれども、これについてどうでしょうか。

○那珂説明員
 住宅取得促進税制、現行の制度でございますが、これは、ローンを組んだ方の初期負担を軽減して中堅所得者層を中心とする国民の住宅取得を促進して居住水準の向上につなげたいという趣旨でございますし、また、ただいま御指摘の買いかえ特例につきましては、持ち家から持ち家に住みかえた場合に、その譲渡所得の全額繰り延べ等を行うことによって買いかえによる居住水準の向上を支援するという制度でございます。
 住宅政策の観点からは、住みかえによる居住水準の向上を図るというようなことで、二つの制度の重複適用ということも考えられると思いますけれども、税制上の制度として、財政上の制約とかあるいは一次取得者に対する支援とのバランスとか、そういうことを考慮せざるを得ないものと理解しております。

○井上(義)委員
 買いかえを促進する、これは景気対策にもつながるわけでありますし、税制の壁はいろいろあると思いますが、建設省、しっかりこれをやっていただければと思いますので、よろしくお願いします。
 それから、先ほど大臣にも少し触れていただきましたけれども、住宅ローンの返済困難者に対する対策でございますけれども、住宅金融公庫の調べですと、平成九年度の延滞件数というのは一万八千五百二十五件、それから公庫住宅融資保証協会の代位弁済件数、これは平成九年度九千七百十五件、その件数、年々増加しているわけでございます。また、統計にはあらわれていない潜在的な返済困難者が多数存在すると考えられるわけでございまして、今後の経済状態というものを考えますと、ローン返済困難者の数はますます増加して、社会問題になりつつあるわけでございまして、大変これは私どもも心配しているわけでございます。
 それで、ゆとり返済については、先ほど大臣からもありましたように、返済期間を十年程度に延長するということを決めたようなわけですけれども、これ以外にも、例えば失業したとかあるいは所得が急激に減ったとか、そういう人たちの救済措置というものが大事じゃないかということで、返済の据え置きとかあるいはその期間の利子補給でありますとか、あるいは返済期間の延長、あるいは、ぜひこれもやってもらいたいと思うのですけれども、返済中の自宅を一時的に賃貸に回して、より家賃の低いところに自分は住んでローンを返済するというような、いわゆる一種の、賃貸に出せる条件の弾力的運用というのですか、こういうこともぜひやっていただきたい、こう思いますが、この点どうでしょうか。

○関谷国務大臣
 そういうもろもろの問題を御相談を受けるように、ローンの返済の困難者の対策ということで、住宅金融公庫にそういう返済相談を行うのを各支店にも置いておりますので、ぜひ御相談をしていただきたいし、先生が今るるおっしゃられました方策は、私は一〇〇%それを進めていくことができると思いますので、頑張っていきたいと思っております。

○井上(義)委員
 それから、これはちょっと税務当局の話になるかと思うのですけれども、マイホームを手放して賃貸住宅に移行せざるを得ない。今、買いかえについては、いわゆる譲渡損失が出た場合の繰越控除制度があって、その年と、あと三年間繰越控除を認めているわけですけれども、要するに、買いかえじゃなくて、売らざるを得ない、それで賃貸に移る。ところが、今損失が出ているケースが多いわけで、売ってもローンが残ってしまっているというケースが多いわけでございまして、これは住宅政策というよりも生活再建という意味合いから、そういう譲渡損が出たときについてもこの繰越控除を認めるようにした方がいいんじゃないか、すべきじゃないか、こう思うのですけれども、税務当局、もし来ていたら。

○福田政府委員
 お答え申し上げます。
 御案内のように、所得税と申しますのは、一暦年、つまり一年間の所得に対しまして累進税率を適用する税でございます。一暦年ごとに所得計算を行いまして、ある年の事情を他の年に反映させない、これが原則でございます。したがいまして、損失につきましても、ある年に生じた損失は翌年以降の所得計算に反映させないというのが基本でございます。
 今先生の方から、ローン破綻者支援のために、マイホームを手放した、賃貸に移らざるを得ない方の譲渡損について、繰越控除を認めることはできないか、こういうお尋ねでございますが、御案内のように居住用資産につきましては、売却時に譲渡損と逆、譲渡益が生じました場合にも、三千万円の特別控除により居住用財産の譲渡者の大部分の方、ざっと九六%の方は実質上非課税になっております。売ったときに利益が出たときは大部分非課税ということで、仮に課税になる場合でも、買いかえ特例あるいは軽減税率といったことで税負担を軽減しております。
 こういった制度とのバランスあるいは諸外国における取り扱いとの比較から見ても、今の我が国の所得税において、譲渡損失に配慮して特別の制度を設けるということは大変難しい、困難な問題ではないかと考えております。

○井上(義)委員
 これはバブルのときだったらいいのですけれども、逆のときは、もう譲渡損失がいっぱい出てしまって、家を売ったのにローンを払い続けなければいけないというのが現状なので、余り頭のかたいことを言わないで、大臣、どうですか。同じように思いませんか。余りお答えしたくないようなので、これもちょっとよく考えてもらいたいと思います。
 それから、住宅政策の中で、今までは持ち家対象ということなのですけれども、一方では賃貸住宅の問題があるわけです。
 御承知のとおり、我が国の賃貸住宅というのは、ファミリー向けの賃貸住宅を中心にして、欧米に比べて居住水準が極めて立ちおくれているわけでございまして、一戸当たりの床面積でいうと、日本の借家は平均四十五平米、イギリスは八十八平米、ドイツは七十五平米、フランスは七十七平米、アメリカは百十一平米と、極めて劣悪と言わざるを得ないわけでございます。
 ファミリー向けの賃貸住宅が、面積当たりの収益性が低いということで、市場では十分に供給されていないというのがこの大きな原因なわけです。例えば公的賃貸住宅ですと、平成九年度、平均床面積は七十・二平米、ところが民間の賃貸住宅は四十六・三平米ということで、民間の賃貸住宅、この収益性が極めて低いということでこういう状況になっているわけです。
 優良な賃貸住宅の需要が高まっているにもかかわらず、その供給がなされていないということで、特にバブルの崩壊以降、地価は下がり、住宅の建築費は下がっているんだけれども家賃は下がっていないということで、不況の中、住宅費が収入減の世帯の生活を圧迫しているということもあるわけでございまして、持ち家の人に比べて賃貸住宅に入っている人たちのいわゆる優遇措置というのが極めて少ないと言わざるを得ないわけでございます。
 この賃貸住宅政策については、いわゆる特定優良賃貸住宅制度、特優賃、これを我々も推進してきたところでございまして、かなり効果も上がっているのですけれども、それほど消費者が期待するほどの実効は上がっていないというのが現状でございます。
 これからの賃貸住宅政策というものを建設省としてどのようにお考えになっているのかということと、それからもう一つは、私どもが年来ずっと主張してきております家賃控除制度、これは負担の軽減ということと、やはりより居住水準の高い借家への借りかえというようなことも含めて、この制度を賃貸住宅政策の観点でもう一回再検討する、そういうタイミングではないか、このように思うわけでございまして、この二点についてお伺いします。

○那珂説明員
 先生御指摘のように、我が国の賃貸住宅の水準は、大変諸外国に比べまして低い水準にありまして、大きな政策課題だと思っております。とりわけ、ファミリー向けの本格的居住にふさわしい賃貸住宅がもっと市場で供給されるようなことが必要であろうと思います。
 そこで、私どもといたしましては、御指摘にもありましたが、特定優良賃貸住宅制度を活用して、そういう優良な民間賃貸住宅の供給に力を入れているわけでございまして、平成十年度におきましても、入居者負担基準額の年上昇率の見直しを図るなどの制度の充実を図っているところでございます。
 また、今後増加することが予想されます高齢者の単身、夫婦世帯に対して、十年度からでございますが、新たに高齢者向け優良賃貸住宅制度を設けまして、その供給の促進を図ることとしております。
 さらに、現在国会において継続審議になっておりますが、借地借家法の一部を改正する法律案によりまして定期借家制度が創設されたならば、やはり良質な賃貸住宅の供給の促進にも大いに寄与するものと期待しているわけでございます。
 なお、先生最後に御指摘の家賃の控除制度につきましては、それ自身が、負担の軽減という点はあろうかと思いますが、今申し上げました肝心の、良質な借家をふやし、借家世帯の居住水準の向上につながるだろうかというような観点とか、あるいは借家世帯として考えた場合、その支援措置としてより適切、効果的なものかどうかというような観点から、私どもとしては慎重な検討が必要であろうと存じます。

○井上(義)委員
 この家賃控除制度、これは建設省としても概算要求した経緯も過去あったわけでございまして、慎重な検討ということで、慎重に検討していただくのはいいのですけれども、できるだけ前向きに再挑戦をしていただきたいと要望しておきます。
 それから、災害対策について最後ちょっとお伺いいたします。
 八月、九月のあの集中豪雨、実は私も福島県西郷村の太陽の国、二十七日に災害があったわけでございますけれども、その直後に、その日に現地に行きました。要するに、建設省、農水省が指定している危険箇所ではないところが崩れたということに私も大変ショックを受けまして、翌日すぐこちらに戻りまして、野中官房長官に、とりあえずそういう施設、大体山合いに建てられるケースが多いものですから、その施設だけでもとりあえず点検をして万全の対策をとってくれということを要望したわけでございます。
 早速建設省の方でも動いていただいたと思うのですけれども、その結果と一それから、ただ結果が出ただけではどうしようもないので、やはりそれに対してどういう対策を今後とっていくのか、この辺のことをお伺いしたいと思います。

○青山政府委員
 今お尋ねの福島県西郷村太陽の国の土砂災害を踏まえまして、災害弱者に関連した施設の立地の実態を把握するために緊急一斉点検を行ったわけでございます。
 私ども建設省の調査結果によりますと、全国に災害弱者関連施設といいますものが約十四万施設ございます。このうち土砂災害危険箇所に位置するものは約九千施設一さらに、これまで危険箇所ではなかったわけでございますが、からまつ荘の災害を契機に、斜面の勾配十度以上の箇所、これを土砂災害注意箇所と名づけておりますが、こういったところも新たに調査いたしましたところ、これにつきましては約八千施設あることが判明いたしました。
 こういった一斉点検結果を踏まえまして、土砂災害のおそれのある地区にかかわる災害弱者関連施設につきましては、防災工事として必要な箇所につきまして砂防、地すべり、急傾斜の各事業を重点的に実施するほか、特にからまつ荘につきましては一災害関連緊急砂防事業といたしまして五億八千五百万円の予算が採択されたところでございます。
 さらに、ソフト対策を進めるということで、関係機関と連携をとりながら、その施設が土砂災害のおそれのある地区に位置していますよという旨を施設管理者に通知するとか、地域防災計画に当該施設が位置づけられるよう都道府県を指導するとか、施設管理者に対して警戒避難や土砂災害に対する講習会等を開いて説明するとか、こういった形でのソフト対策も進めてまいりたい、かように考えております。

○井上(義)委員
 それから、今回の集中豪雨、河川増水による被害が非常に大きかったわけでございます。東北でも阿武隈川水域で一部地域がはんらんをしたりして、家屋だとかあるいは農作物、公共土木施設に甚大な被害をもたらしたわけでございます。
 地元福島あるいは宮城の自治体から、今回のような記録的な集中豪雨と被害状況を考慮した対策を国の策定するいわゆる河川整備計画マスタープラン、その中に十分反映してもらいたいと。去年、河川法が改正になりまし'その意味で、当初余り予想していなかったような大きな被害が起きたわけでございまして、それを十分反映してもらいたいというふうな要請が来ておるわけでございます。
 また、河川改修の場合に上下流一体の整備が必要なわけでございまして、その意味では、河川災害復旧関連緊急事業制度、これを創設したことは大変前進であると思います。ともかく十分な予算措置を講じて、一体整備の実効をぜひ上げてもらいたい。
 それから、河川、特に阿武隈川等複数県にまたがる場合も多いので、地元との連携も不可欠でございまして、同じくこの辺もしっかり取り組んでいただければと思います。
 その意味で、この阿武隈川の河川整備計画を含めまして、今後の河川における災害対策について建設省の方針を聞いておきたいと思います。

○青山政府委員
 今回のような集中豪雨に対して非常に大きな被害が出たわけでございますが、治水事業の整備水準そのものを考えてみますと、時間雨量五十ミリの降雨による洪水はんらん等の防御というものを対象にしているわけでございますが、河川全体で五二%と依然として低い水準でございまして、今回のような集中豪雨に対しましては、十分な安全性を確保することは極めて難しいというのが実態でございます。
 河道改修とか調節地とか水路、ダム等を初めとした河川施設の整備に加えまして、流域における浸透対策もしくは貯留対策を含めた総合的な見地からの施策を強力に推進して、災害発生の防止、抑制を図ることが重要と考えております。
 また、この栃木のような大雨を考えますと、例えば橋梁や河川を横断する構造物であります固定堰等、そういった構造物の前後については堤防を強化するとか、はんらんしても床上浸水等の被害を生じないような土地利用との調整を図るとか、そういったことも念頭に置きつつ、想定を超える大雨のときでも被害が最小限度になるような河川整備計画を策定することが重要だと考えておりますし、またソフト対策、情報の提供等のソフト面での防災対策も重要だと考えておりまして、これも積極的に進めてまいる所存でございます。
 さらに、上下流バランスの話でございますが、まさに、河川改修に当たりましては、水系一貫という考え方のもとに、上下流バランス、また本支川バランスに留意しながら、下流に負荷を与えないように計画的に事業を進めるということが大切でございまして、特に、複数の県にわたります阿武隈川のような川では、同一の河川管理者が上下流バランスを考慮して計画策定、事業実施、またダム管理等を進めることが望ましいというふうに思っております。
 また、国の直轄管理の本川と都道府県管理の支川とのバランスにつきましては、河川整備計画の策定などを通じまして、国と地元の都道府県で連携を図りながらこれを進めてまいりたいと思っております。
 また、河川整備に当たりましては、下流から改修を進めることが基本でございますが、下流部の改修が困難である場合や狭窄部等がある場合には遊水地の整備等も極めて有効であると認識しておりますし、先ほど先生御指摘ございました災害復旧関連緊急事業制度というものの創設を現在要求しているところでございますが、そういった形で上下流バランスを図りながら、短期間で抜本的な改修をするという制度についても積極的に取り組んでまいりたい、かように考えております。

○井上(義)委員
 以上で終わります。